泉のマーケティング解説ブログ

店舗開発

2024.08.28

店舗開発のプロが使う「良い立地」と世間の人が使う「良い場所」との違い


世間一般で「良い場所」とされる場所は、見た目や人気度で判断されがちです。
確かに、人気のある場所は魅力的に映りますが、それが必ずしも「良い立地」であるとは限りません。

店舗開発のプロが重視する「良い立地」とは、単に見た目や人気度だけではなく、利益をしっかり出せる場所を指します。

人気のある場所の落とし穴


人気がある場所は、住居と同様に賃料が高い場合が多いです。

これは需要と供給のバランスによるものです。たとえ売上が高くても、賃料が高ければ経費も増加し、利益は少なくなります。

また、賃料が高いからといって、必ずしも売上が高くなる保証はありません。

利益を出すための計算式

店舗経営において重要なのは、利益をしっかり出せることです。
  • 利益の計算式は以下の通りです。
利益 = 粗利益(売上 ー 原価)ー 経費(人件費、賃料、減価償却費、その他)

賃料の比率と損益分岐点

世間一般では、商業店舗の賃料は売上対比で9%前後が適正とされています。しかし、売上が10%下がると損益分岐点に達し、利益がゼロになってしまうといわれています。

これは、以下の理由によります。
1.賃料の固定費
賃料は固定費であるため、売上が下がっても賃料は変わりません。そのため、売上に対する賃料の比率が高くなります。
2.売上の変動
コロナ禍などの影響で売上が下がると、損益分岐点を下回る店舗が増え、利益がなくなる店舗が続出しました。

適正な賃料の重要性

適正な賃料の場所に出店することの重要性が増しています。余力のある賃料設定が、経営の安定を図る鍵となります。

店舗開発のプロが重視するポイント

店舗開発のプロが「良い立地」を選定する際には、以下のポイントを重視します。
1.ターゲット顧客の存在
候補地周辺にターゲットとなる顧客層が存在するかどうか。
2.交通アクセス
交通の便が良く、顧客が来店しやすい場所であるかどうか。
3.競合状況
周辺に競合店舗がどの位置に何店あるか、競合との違いを打ち出せるか。
4.賃料の適正さ
賃料が売上に対して適正な比率であるかどうか。

まとめ

「良い場所」と「良い立地」は異なる概念です。
世間一般の見た目や人気度で判断するのではなく、利益をしっかり出せる場所を選定することが重要です。
適正な賃料設定とターゲット顧客の存在を重視し、長期的に安定した経営を目指しましょう。

次回は、具体的な事例と顧客4分類法のさらなる活用について詳しく説明します。

ここにエントリー本文を書きます。

2024.08.27

立地を知れば、口説きは100発100中 (その2)

応援団(社外協力業者)が思うように動かない

前回述べた伝え方がさらに効果的であると実感したのは、社外協力業者の店舗開発協力者(約150名)を戦力化した時の経験からです。

自社の店舗開発新人教育と同じ方法で戦力化できれば、物凄い成果が上がると考えていましたが、この方法は全く通用しませんでした。

誤ったアプローチ

店舗開発協力者はサポートの立場であり、店舗開発が本業ではありません。
私の思い込みは、大きな過ちでした。

立地や選定に興味がある少人数なら実現可能かもしれませんが、150名となると対象者の考えもそれぞれで、私の専門的な説明は理解されませんでした。

シンプル且つ具体的な説明


そこで、シンプルかつ具体的にやるべき行為を伝えることにしました。
顧客を4分類する切り口で説明すると、店舗開発協力者の皆さんの理解が一気に進み、サポート活動の質も上がり、大きな成果に結びつきました。

サポート行為に興味が湧き、主体性ある行動に変わったのです。

顧客4分類法の効果

前述の芦原さんと出会った時から、店舗立地選定方法を伝える際には、お店に来るお客様を4分類する切り口で説明することが重要だと確信しました。

これにより、初めての人にも分かりやすく、興味を持って次のステップに進んでもらえるようになりました。

具体的な顧客4分類法

1.常連客(リピーター)
お店を頻繁に利用するお客様。安定した収益をもたらし、口コミで新しい顧客を呼び込む役割も果たします。
2.一見客(初めてのお客様)
一度だけ来店するお客様。リピーターになってもらうための工夫が必要です。
3.潜在顧客(近隣に住むがまだ来店していないお客様)
店舗の存在を知らない、もしくは興味を持っていないお客様。広告やプロモーションで来店を促します。
4.離脱客(以前は来店していたが最近来店していないお客様)
再来店を促すための施策が必要です。アンケートやフォローアップで原因を探り、改善します。

シンプルな説明の効果

シンプルな説明を行うことで、相手が何をすれば良いかを具体的に理解しやすくなります。専門用語や複雑な概念を避け、具体的な行動を伝えることが重要です。
これにより、相手は行動に移しやすくなり、結果として大きな成果を上げることができます。

まとめ

店舗開発協力者に対しても、シンプルかつ具体的な説明が効果的です。
顧客を4分類する切り口で説明することで、初めての人にも分かりやすく、興味を持ってもらうことができます。
相手の立場に立ち、理解しやすい言葉や具体例を用いて説明することで、サポート活動の質を向上させることができます。
次回は、具体的な事例と顧客4分類法のさらなる活用について詳しく説明します。

ここにエントリー本文を書きます。

2024.08.26

立地を知れば、口説きは100発100中 (その1)

伝わらないのは無いのと一緒

店舗の出店希望者や貸主様に対して、商圏分析や立地評価の説明をしてきた経験があります。
しかし、初期の頃は一生懸命説明しているのに、欠伸をする人や居眠りをする人が出てきました。
この現象に対して当初は憤慨していましたが、途中から「説明が伝わっていないからだ」と気付きました。
そこで、もっと誰にでも分かる説明の仕方を模索するようになりました。

商圏分析を4つの顧客に分ける

そこで見つけた解決策は、商圏の分析を4つのお客様に分け、その視点から場所の評価をするという簡単な説明に切り替えることでした。
具体的な事例を使い補足説明することで、最後までしっかり聞いてもらえるようになりました。

伝わらないのは無いのと一緒
店舗の出店希望者や貸主様に対して、商圏分析や立地評価の説明をしてきた経験があります。
しかし、初期の頃は一生懸命説明しているのに、欠伸をする人や居眠りをする人が出てきました。
この現象に対して当初は憤慨していましたが、途中から「説明が伝わっていないからだ」と気付きました。
そこで、もっと誰にでも分かる説明の仕方を模索するようになりました。


商圏分析を4つの顧客に分ける
そこで見つけた解決策は、商圏の分析を4つのお客様に分け、その視点から場所の評価をするという簡単な説明に切り替えることでした。
具体的な事例を使い補足説明することで、最後までしっかり聞いてもらえるようになりました。

具体例を使った説明

説明が終わると、以下のような反応を得られるようになりました。
経営希望者
  
出店する場所の特性が良く分かりました。特性を活かして店舗運営に取り組みます
貸主様
良く調べてくれた。これならおたくの会社にお願いすれば安心だね
このような肯定的な反応を得られるようになったのは、説明を簡単にしただけでしたが、効果は抜群でした。

説明の工夫

独立後に気付いたのは、予備知識がなく知らないこと(商圏分析、立地の見方)をいきなり専門用語で説明されても理解できないのが当たり前であり、そういった説明は相手にとって苦痛でしかないということです。
相手の立場に立ち、聞き手をしっかり理解することで、相手が分かる言葉や表現で説明すれば、同じ内容の話が苦痛から自信や安心を得る時間に変わることに気付きました。
やはり、伝わらないのは無いのと一緒です。

まとめ

相手に情報を伝える際には、相手の立場や理解度を考慮し、分かりやすい言葉や具体的な事例を用いることが重要です。これにより、説明が効果的に伝わり、相手に自信や安心感を与えることができます。
次回は、具体的な事例と顧客4分類法の活用についてさらに詳しく説明します。


2024.08.25

顧客4分類法とは

顧客4分類法は、お店に来店するすべてのお客さまを4種類に分類する方法です。
これは、店舗ビジネスを行う際に、立地選定やマーケティング戦略を効果的に進めるための基礎となる考え方です。

《  質 問  》

あなたのお店に来店するお客さまは、たった4種類に分類できます。いきなりですが、以下のA~Dの4種類のお客さまはどんなお客さまだと思いますか?

AからDの4種類のお客さま
・A
・B
・C
・D
どのようなお客さまだと答えられるでしょうか? 若い人、お年寄り、ファミリー客、働く人、カップル、独身男性、学生など様々な回答が考えられます。
あなたの回答は全て正解です

でも、頭に浮かんだ答えは4種類で終わりましたか? 多数の中から4種類を選んで答えている場合、4種類に終わらないことが多いですね。

顧客4分類法の新しい考え方

この新しい考え方を用いることで、あなたの事業にあった店舗の出店場所に精通しやすくなります。
これから、顧客4分類法を簡単に最速で身につける考え方をお伝えします。

立地商圏のロジック

書籍『立地は商売の神様Ⅰ&Ⅱ』さかのうえ陽一氏の「立地商圏のロジック」から、必要な部分を抜き出し、分かりやすく解説します。
より詳しく学びたい方や、小型路面商業店舗の立地選定を生業にする方は、書籍にて第2部の「立地商圏のロジック」をしっかり習得してください。

顧客4分類法の具体的な分類

顧客4分類法は、以下のように分類できます。
1.常連客(リピーター)
あなたのお店を頻繁に利用するお客さま。安定した収益をもたらし、口コミで新しい顧客を呼び込む役割も果たします。
2.一見客(初めてのお客さま)
一度だけ来店するお客さま。リピーターになってもらうための工夫が必要です。
3.潜在顧客(近隣に住むがまだ来店していないお客さま)
店舗の存在を知らない、もしくは興味を持っていないお客さま。広告やプロモーションで来店を促します。
4.離脱客(以前は来店していたが最近来店していないお客さま)
再来店を促すための施策が必要です。アンケートやフォローアップで原因を探り、改善します。

顧客4分類法の活用

この4分類法を用いることで、以下のような効果が期待できます。
ターゲットマーケティング

各顧客層に対して適切なマーケティング戦略を立てることができます。
効果的なプロモーション

新規顧客を呼び込み、リピーターを増やすための具体的な施策を打ち出せます。
顧客満足度の向上

離脱客の原因を探り、改善することで、顧客満足度を向上させることができます

まとめ

顧客4分類法を用いることで、あなたの店舗ビジネスにおける顧客の理解が深まり、より効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
立地選定の際にも、この分類を意識することで、より適切な場所を選ぶことができるでしょう。

2024.08.21

儲かる店の選定5か条 |(その5)多店舗展開の成功に必要な近隣集中出店戦略

その5: 多店舗展開における成功の鍵

多店舗展開で成果を上げている経営者の多くは、まずドミナント(近隣集中出店)戦略を採用しています。
この戦略は、全ての店舗を経営者が一日で訪問できる位置関係にあることを前提としています。

ドミナント戦略の重要性

ドミナント(dominant)戦略とは、地域を絞って集中的に出店する経営戦略のことです。
ドミナント戦略を採用することで以下のメリットがあります。

1.経営者の目が届く
経営者が全店舗を頻繁に訪問し、直接監督することができます。
これにより、店舗ごとの問題を迅速に把握し、対応することが可能です。
2.効率的なマネジメント
近隣に店舗が集中しているため、スタッフの管理や物流の効率が向上します。
3.ブランド認知の向上
同じエリア内に複数店舗を展開することで、地域内でのブランド認知が向上し、顧客の信頼を得やすくなります。  

遠隔地出店のリスク

独立後にヒアリングした企業の中には、関東で数店舗展開後、次に東海、そして関西へと拠点を広げたケースもありました。
しかし、特別なケースを除き、これらの企業はスタッフのマネジメント問題でうまくいっていないことが多かったのです。
この状況は、コンビニでも同様であり、結果として経営者の目が届く範囲で展開するスタイルが成功の鍵となりました。

マネジメントの課題

遠隔地への出店は、以下のマネジメント課題を引き起こします。

1.スタッフの教育と管理:
遠隔地にある店舗では、経営者が直接スタッフを教育・管理することが難しくなります。その結果、サービスの質や運営の効率が低下するリスクがあります。
2.コミュニケーションの難しさ:
遠隔地にある店舗とのコミュニケーションが難しくなり、迅速な意思決定や問題解決が遅れることがあります。
3.ロジスティクスの複雑化:
物流や供給チェーンの管理が複雑になり、コストが増加する可能性があります。

多店舗展開を目指すためのアドバイス

多店舗展開を目指すのであれば、まずはドミナント戦略を採用し、経営者の目が届く範囲で店舗を展開することをお勧めします。
この戦略により、マネジメントの効率化やブランド認知の向上が期待でき、成功の確率が高まります。その為にはカニバリジム(共食い)しない店舗配置=出店戦略が同時に大切です。

まとめ

多店舗展開の成功には、ドミナント戦略が重要です。経営者が全店舗を一日で訪問できる位置関係に店舗を配置することで、管理効率やブランド認知が向上し、マネジメントの課題を克服できます。
これから多店舗展開を目指す方は、この点を心に留めてください。
これで、2万店が教えてくれた儲かる店の選定5か条が揃いました。
  1. 事業にあっていない場所は売れない
  2. 賃料の坪単価と売上は比例しない
  3. 空きテナントから良い出店場所は見つからない
  4. 現地確認が一番大事
  5. 多店舗展開における成功の鍵

2024.08.17

儲かる店の選定5か条 | (その1)店舗出店成功の秘訣

私がコンビニの店舗開発時代と独立後の現場での業務経験を通して確信したことは、コンビニの店舗出店場所選定方法はすべての業種業態に通用するということです。

ここでは、私が2万店舗の出店から学んだ真実と、それを基にした儲かる店の選定5か条をお伝えします。

新しい視点:2万店の出店が教えてくれた真実

あなたがこれから新規で店舗商売をスタートし、自社の商品・サービスをブランドとして継続的にブランディングしていくために、この5か条をぜひ参考にしてください。

その1: 事業にあっていない場所は売れない

約2万店舗の出店を通じて分かったことは、どんなに商品が優れていても、事業にあっていない場所では売れないということです。
同じ商品・サービス、同じ販促活動をしても、立地が適していないと成果は上がりません。逆に、事業にあった場所では誰が経営しても成功しやすいのです。

儲かる店の選定5か条

第1条:事業コンセプトの「誰に」「何を」を明確にする

出店場所を選ぶ前に、まず自分の事業コンセプトを明確にしましょう。

誰に向けて何を提供するのかが明確であれば、その後の「どこで」を選ぶ作業がスムーズに進みます。

コンビニが成功した理由の一つは、事業コンセプトがしっかりしていたからです。

第2条:データを活用して現地調査を行う

経験と勘だけではなく、データを活用して現地調査を行いましょう。

人口動態や競合状況、交通アクセスなど、さまざまなデータを収集し、客観的に判断することが重要です。

これにより、事業に適した場所を見つけることができます。

第3条:顧客層を意識した立地選定

提供する商品やサービスにマッチした顧客層が多く存在する場所を選びましょう。
例えば、若いファミリー層をターゲットにするなら、子育て世代が多く住む住宅地が適しています。

第4条:現地でのフィールドワークを怠らない

データだけでは見えない現地の雰囲気や人の流れを把握するために、実際に現地を歩いてみることが大切です。
これにより、顧客の動線や隠れたニーズを発見することができます。

第5条:継続的な検証と改善

出店後も継続的に顧客の反応や売上データを分析し、必要に応じて改善を行いましょう。環境の変化や新たな競合の出現に対応するため、常に現状を見直すことが重要です。

まとめ

これから新規出店を考えている方や、既存店舗の売上を伸ばしたい方は、ぜひこの5か条を参考にしてください。
コンビニの成功事例から得たノウハウを活用することで、あなたの店舗経営が一層繁盛することを願っています。
「立地は商売の神様」という言葉の意味を実感し、成功への道を歩んでください。

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