泉のマーケティング解説ブログ
2024年08月
2024.08.21
儲かる店の選定5か条 |(その5)多店舗展開の成功に必要な近隣集中出店戦略
その5: 多店舗展開における成功の鍵
多店舗展開で成果を上げている経営者の多くは、まずドミナント(近隣集中出店)戦略を採用しています。
この戦略は、全ての店舗を経営者が一日で訪問できる位置関係にあることを前提としています。
ドミナント戦略の重要性
ドミナント(dominant)戦略とは、地域を絞って集中的に出店する経営戦略のことです。
ドミナント戦略を採用することで以下のメリットがあります。
1.経営者の目が届く
経営者が全店舗を頻繁に訪問し、直接監督することができます。
これにより、店舗ごとの問題を迅速に把握し、対応することが可能です。
2.効率的なマネジメント
近隣に店舗が集中しているため、スタッフの管理や物流の効率が向上します。
3.ブランド認知の向上
同じエリア内に複数店舗を展開することで、地域内でのブランド認知が向上し、顧客の信頼を得やすくなります。
遠隔地出店のリスク
独立後にヒアリングした企業の中には、関東で数店舗展開後、次に東海、そして関西へと拠点を広げたケースもありました。
しかし、特別なケースを除き、これらの企業はスタッフのマネジメント問題でうまくいっていないことが多かったのです。
この状況は、コンビニでも同様であり、結果として経営者の目が届く範囲で展開するスタイルが成功の鍵となりました。
マネジメントの課題
遠隔地への出店は、以下のマネジメント課題を引き起こします。
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1.スタッフの教育と管理:
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遠隔地にある店舗では、経営者が直接スタッフを教育・管理することが難しくなります。その結果、サービスの質や運営の効率が低下するリスクがあります。
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2.コミュニケーションの難しさ:
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遠隔地にある店舗とのコミュニケーションが難しくなり、迅速な意思決定や問題解決が遅れることがあります。
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3.ロジスティクスの複雑化:
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物流や供給チェーンの管理が複雑になり、コストが増加する可能性があります。
多店舗展開を目指すためのアドバイス
多店舗展開を目指すのであれば、まずはドミナント戦略を採用し、経営者の目が届く範囲で店舗を展開することをお勧めします。
この戦略により、マネジメントの効率化やブランド認知の向上が期待でき、成功の確率が高まります。その為にはカニバリジム(共食い)しない店舗配置=出店戦略が同時に大切です。
まとめ
多店舗展開の成功には、ドミナント戦略が重要です。経営者が全店舗を一日で訪問できる位置関係に店舗を配置することで、管理効率やブランド認知が向上し、マネジメントの課題を克服できます。
これから多店舗展開を目指す方は、この点を心に留めてください。
これで、2万店が教えてくれた儲かる店の選定5か条が揃いました。
- 事業にあっていない場所は売れない
- 賃料の坪単価と売上は比例しない
- 空きテナントから良い出店場所は見つからない
- 現地確認が一番大事
- 多店舗展開における成功の鍵
2024.08.20
儲かる店の選定5か条 | (その4)現地確認の重要性【出店場所選定の成功ポイント】
その4: 現地確認が一番大事
出店場所を選定する際、店舗開発を職とする人はまず地図や人口統計データを揃え、机上で分析します。
しかし、本来それは現地確認・調査の精度を上げるために行うものです。机上のデータだけでは見えない・分からないことが必ずあります。
最も大事なのは、机上のデータ分析で仮説を立て、必ず現地確認・調査を行うことです。
現地でしか分からない重要なポイント
現地確認を行わなければ分からない事項は数多くあります。以下のポイントを押さえて、現地確認を徹底しましょう。
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1.近隣の住民が利用する駅や日常買物するお店
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距離だけで決まるわけではなく、住民の習慣や便利さも影響します。
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2.道路を走る車の量と質
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営業車、自家用車、軽自動車など、車の種類によって顧客層が異なる場合があります。
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3.歩行者の量と質
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年齢、性別、職種など、歩行者の属性を把握することが重要です。
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4.人の歩く道
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表通りを歩くとは限らず、歩きやすい道を選ぶ傾向があります。
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5.候補地と近隣との土地の高低差
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これらは現地調査でしか把握できない情報です。
いくらGoogleストリートビューが便利でも、これらの詳細な情報は現地調査でしか得られません。
精度の高い判断材料を得るために
新しく店舗を出店するということは、大きな投資です。
個人であれば一世一代の大勝負ですし、企業の店舗開発担当者なら会社の成長エンジンとして重要な役割を担います。
どちらの場合でも、精度の高い判断材料(データと現地調査)が必要です。コストをかけて他者に依頼する必要はなく、あなた自身が行えば可能です。
現地調査のメリット
現地調査を行うことで、お店の品揃えやサービスの開発にも大いに役立ちます。
顧客のニーズや動線、地域特性を把握することで、より適切な商品やサービスを提供できるようになります。
まとめ
現地確認は出店場所の選定において最も重要なステップです。
机上のデータ分析で仮説を立て、現地での詳細な確認と調査を行うことで、精度の高い判断が可能になります。
これにより、事業の成功確率を大幅に高めることができます。
2024.08.19
儲かる店の選定5か条 | (その3)空きテナントは要注意!成功する出店場所選び
その3: 空きテナントから良い出店場所は見つからない
私が開店させた多くの店舗の検証結果から、空き店舗テナント(募集看板が設置してある案件)から出店基準をクリアする物件は滅多に出ないことが分かりました。
特に、前テナントが店舗であった場所にコンビニを出店した場合、最終的に短期閉店するケースが多く見られました。
店舗が空く理由
店舗が空く理由は、住居が空く理由とは異なります。
住居が空く理由には、家族構成の変化や転勤・転職などがありますが、店舗が空く理由は主に商売がうまくいかなかったためです。
売れすぎて手狭になったから移転する、売れているが後継者がいないため閉店するというケースは稀で、こうした場合は空きテナントになる前に次のテナントが決まっていることがほとんどです。
空き店舗テナントのリスク
他の人が商売をして売上不振だった場所が、あなたに変われば売れるようになるとは限りません。
むしろ、前のテナントが売上不振だった理由をしっかりと分析し、同じ過ちを繰り返さないようにする必要があります。
具体例: 短期閉店のケース
前テナントが店舗であった場所にコンビニを出店し、短期閉店に至ったケースでは、立地や周辺環境が事業に適していなかったことが原因です。
前のテナントがうまくいかなかった理由を無視して出店することは、同じ失敗を繰り返すリスクを伴います。
適切な出店場所の見つけ方
良い出店場所を見つけるためには、以下の点に注意する必要があります:
- 1.前テナントの分析:
- 前のテナントがなぜ閉店したのかをしっかりと分析することが重要です。
- 2.商圏分析:
- その場所の商圏をデータと現地調査で分析し、ターゲット顧客が存在するか確認します。
- 3.立地条件の確認:
- 交通アクセス、人通り、周辺の競合状況などを総合的に評価します。
まとめ
空きテナントは一見魅力的に見えるかもしれませんが、過去の失敗をしっかりと分析し、慎重に判断することが重要です。
前のテナントが売上不振だった場所に出店することは高いリスクを伴うため、事業に適した立地を見つけるための努力を惜しまず、データと現地調査に基づいた選定を行いましょう。
次回は、儲かる店の選定5か条のその4について詳しく説明します。
2024.08.18
儲かる店の選定5か条 | (その2)賃料と売上の関係を解明【店舗出店】
その2: 賃料の坪単価と売上は比例しない
一般的には、「賃料が高い場所は良い場所であり、商売をすれば売れる」と言われます。
確かに、銀座などのブランド力のあるエリアではこの常識は通用します。
しかし、私が開店させた295店舗や全国約3,000店舗の検証結果からは、賃料が高いからといって売上が高いとは限らないことが分かりました。
賃料と売上の相関関係の検証
調査の結果、賃料が近隣相場より低くても売上が高い店舗が多々ある一方で、賃料が高くても売上が低い店舗も多く存在することが確認できました。
賃料と売上には明確な相関関係は見られませんでした。
唯一相関関係があったのは「賃料と人通り(人の通行量)」です。
駅前など人通りが多い場所は賃料が高い傾向がありますが、それが必ずしも高い売上を保証するわけではありません。
具体例:介護用品店の出店
例えば、後期高齢者向けの介護用品を扱うショップを、人通りの多い原宿の竹下通りに出店した場合を考えてみましょう。
竹下通りは若者が集まる人気のエリアであり、賃料が高いのは当然ですが、ここに介護用品店を出店しても売上が見込めるとは限りません。
賃料と粗利益の関係
賃料が高い場所に出店しても、粗利益から賃料を引いてしっかり利益が残るかどうかを考える必要があります。
ターゲット顧客がそのエリアに存在しない場合、高額な賃料を支払っても利益を確保することは難しいでしょう。
まとめ
「賃料が高い=売上が高い」という常識にとらわれず、事業コンセプトに合った立地選定を行うことが重要です。
人通りの多さだけでなく、ターゲット顧客の存在やその地域の特性を考慮し、適切な場所を選ぶことで、成功の確率が高まります。
次回は、儲かる店の選定5か条のその3について詳しく説明します。
2024.08.17
儲かる店の選定5か条 | (その1)店舗出店成功の秘訣
私がコンビニの店舗開発時代と独立後の現場での業務経験を通して確信したことは、コンビニの店舗出店場所選定方法はすべての業種業態に通用するということです。
ここでは、私が2万店舗の出店から学んだ真実と、それを基にした儲かる店の選定5か条をお伝えします。
新しい視点:2万店の出店が教えてくれた真実
あなたがこれから新規で店舗商売をスタートし、自社の商品・サービスをブランドとして継続的にブランディングしていくために、この5か条をぜひ参考にしてください。
その1: 事業にあっていない場所は売れない
約2万店舗の出店を通じて分かったことは、どんなに商品が優れていても、事業にあっていない場所では売れないということです。
同じ商品・サービス、同じ販促活動をしても、立地が適していないと成果は上がりません。逆に、事業にあった場所では誰が経営しても成功しやすいのです。
儲かる店の選定5か条
第1条:事業コンセプトの「誰に」「何を」を明確にする
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出店場所を選ぶ前に、まず自分の事業コンセプトを明確にしましょう。
誰に向けて何を提供するのかが明確であれば、その後の「どこで」を選ぶ作業がスムーズに進みます。
コンビニが成功した理由の一つは、事業コンセプトがしっかりしていたからです。
第2条:データを活用して現地調査を行う
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経験と勘だけではなく、データを活用して現地調査を行いましょう。
人口動態や競合状況、交通アクセスなど、さまざまなデータを収集し、客観的に判断することが重要です。
これにより、事業に適した場所を見つけることができます。
第3条:顧客層を意識した立地選定
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提供する商品やサービスにマッチした顧客層が多く存在する場所を選びましょう。例えば、若いファミリー層をターゲットにするなら、子育て世代が多く住む住宅地が適しています。
第4条:現地でのフィールドワークを怠らない
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データだけでは見えない現地の雰囲気や人の流れを把握するために、実際に現地を歩いてみることが大切です。これにより、顧客の動線や隠れたニーズを発見することができます。
第5条:継続的な検証と改善
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出店後も継続的に顧客の反応や売上データを分析し、必要に応じて改善を行いましょう。環境の変化や新たな競合の出現に対応するため、常に現状を見直すことが重要です。
まとめ
これから新規出店を考えている方や、既存店舗の売上を伸ばしたい方は、ぜひこの5か条を参考にしてください。
コンビニの成功事例から得たノウハウを活用することで、あなたの店舗経営が一層繁盛することを願っています。
「立地は商売の神様」という言葉の意味を実感し、成功への道を歩んでください。
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