泉のマーケティング解説ブログ
2025年05月
2025.05.10
顧客4分類法活用による出店事例(2.候補地(お店)の最寄りに働く就業者への出店事例)
ここでは、出店候補地の近くで働く人を対象にした事例で、都心オフィスビルへの出店の事例と都内再開発地区超高層ビルへの出店の事例を学びます。
事例1 都心オフィスビル街への初期出店
背 景
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当時は、住んでいる人が主体の売上予測が主流であり、働く人を顧客にする候補地は評価が低かった。
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現地調査
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候補地周辺の現地調査を実施し、最寄り商圏に就業者の十分なボリュームがあることを確認。
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出店決定
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商圏の就業者の利用が見込めると確信し、経営トップに出店コンセプトを説明し承認を得た。
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結 果
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開店から20年経過後も高い日販を堅持し、数多くの競合店が出店する中でも成功を維持。
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この事例から学ぶことは、出店の際に最も重要なのは「主たる顧客の設定」と「その来店が見込めること」です。
事例2 都内再開発地区超高層ビルへの出店
失敗事例
背 景
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都内再開発地区の超高層ビルの商業区画に出店。
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問題点
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開店後にビル側の意向で人の流れが変えられ、見込んだ顧客(就業者)の来店が激減。
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結 果
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来店客数の大幅減少により閉店を余儀なくされる。
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成功事例
背 景
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別の再開発地区の超高層ビル(38階建て複合ビル)への出店。
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戦 略
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ビル側の打診は商業ゾーン(地下1階~地上7階)だったが、オフィスゾーン(10階~37階)の就業者ボリュームと人の流れ、利便性を考慮し、地下1階と9階の2カ所に出店提案。
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結 果
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2店舗とも好成績を上げ、現在も成功を維持。
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この事例から学ぶことは、失敗経験を活かし、事前の人の流れと就業者の利便性をしっかりと分析することが重要であるということです。
顧客4分類法による見極め方
候補地(お店)の最寄りに働く就業者

量の見極め方
オフィスビル数
エリア内のオフィスビル数を確認し、そこで働く人々の数を推定します。
通勤流動データ
通勤者の流動データを利用し、エリア内の就業者数を把握します。
質の見極め方
業種構成
エリア内の主な業種を確認し、どのような職種の人が多いかを把握します。
働き方
フルタイム、パートタイム、シフト勤務など、働き方の違いを理解します。
所得水準
労働者の平均所得を確認し、購買力を評価します。
まとめ
「候補地(お店)の最寄りに働く就業者」をターゲットにした出店は、現地調査と顧客ニーズの見極めが鍵となります。
失敗事例から学び、成功事例を参考にすることで、確実な出店戦略を立てることができます。顧客4分類法を活用し、ターゲット顧客の特性を把握し、適切な立地選定を行いましょう。
2025.05.09
顧客4分類法活用による出店事例(1.候補地(お店)の最寄りに住んでいる人への出店事例)
出店が成功した事例の顧客4分類法による分析
都内の住宅密集地および高齢者比率の高い別荘地において、出店が成功した事例です。
事例1 都内駅そば住宅密集地への店舗建替え

場所
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都内駅から350mの住宅密集地の入口 |
状況
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競合店が1店舗、店舗面積が狭く売上は好調だったが競合店に劣っていた
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商圏分析
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駅そばだが若者単身者以外にファミリー層と高齢夫婦層が多いことが判明
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対策 |
日配食品の強化を図り店舗拡張を実施
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結果 | 新たな顧客層の取り込みに成功し、売上が大幅に向上。競合店は閉店し、地域のお客様に支持され続けるお店となった。 |
この事例から、顧客のニーズを掴み、ニーズに合った店作りをすることの重要性が分かります。
事例2 静岡県東部の別荘地内の店舗出店

場所
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静岡県東部の別荘地内 |
状況
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居住人口1,800人(75歳以上が53%)、世帯数1,087世帯、競合店なし。元は赤字の売店。
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商圏分析
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高齢者が多く、住民が店舗存続を希望
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対策 |
住民説明会でニーズを把握し、仮説の精度を上げた品揃えを提供。お届けサービスの導入。
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結果 | 24時間営業ではないが、店舗運営は継続し、住民に愛されている。店舗も黒字化。 |
この事例では、顧客ニーズに応えるための徹底した現地調査と顧客教育が成功の鍵となりました。
出店が失敗した事例の顧客4分類法による分析
次は大都市近郊の新興住宅地での出店の失敗事例です。
事例1
候補地(お店)の最寄りに住んでいる人への出店事例

大都市近郊の新興住宅地への出店
場所
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都大市近郊の新興住宅地
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状況
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開発初期段階で人口が少なくインフラが未整備
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商圏分析
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将来的な人口増加を見越して出店
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結果
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予測通りに人口が増えず売上が伸び悩み閉店
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この事例では、将来的な商圏拡大を見込んだ出店が裏目に出ました。現時点での確実な顧客基盤がない場合、リスクが高いことが分かります。
事例2
候補地(お店)の最寄りに働く就業者への出店事例

オフィス街のビル内への出店
場所
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オフィスビルの中 |
状況
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平日の昼間は賑わうが、夜間や休日は人通りが少ない
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商圏分析
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働く人をターゲットにした品揃え
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結果
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平日の売上は好調だが夜間と休日の売上が低迷し収益が安定せず閉店
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この事例では、商圏の特性を理解し、夜間と休日の対策を講じなかったことが失敗の原因です。
顧客4分類法による見極め方
➀候補地(お店)の最寄りに住む住民
量の見極め方
人口統計データ
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市区町村の統計データや地域の人口データを利用
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世帯数
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エリア内の世帯数を確認
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質の見極め方
年齢層
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住民の年齢層を確認
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家族構成
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ファミリー層、独身層、高齢者層を把握
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所得水準 | 所得水準や消費支出のデータを確認 |
➁候補地(お店)の最寄りに働く就業者
量の見極め方
オフィスビル数
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エリア内のオフィスビル数を確認
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通勤流動データ
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通勤者の流動データを利用
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質の見極め方
業種構成
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エリア内の主な業種を確認
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働き方
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フルタイム、パートタイム、シフト勤務を理解
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所得水準 | 労働者の平均所得を確認 |
➂候補地(お店)の前を通る車
量の見極め方
交通量調査データ
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道路交通量の調査データを利用
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交通インフラ
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主要道路や高速道路のインターチェンジの近さを確認
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質の見極め方
車種構成
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通行する車の種類を確認
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ドライバー属性
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通勤者、観光客、営業車を把握
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時間帯別交通量 | 時間帯ごとの交通量を確認 |
➃候補地(お店)の前を歩く人
量の見極め方
歩行者数調査データ
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歩行者数の調査データを利用
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人通りの多いエリア
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駅前、ショッピングモール、観光地を確認
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質の見極め方
年齢層
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歩行者の年齢層を確認
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目的地
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歩行者の目的地を把握
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時間帯別人通り | 時間帯ごとの人通りを確認 |
まとめ
顧客4分類法を活用することで、ターゲット顧客の特性を把握し、適切な立地選定が可能になります。
成功事例から学び、失敗事例から教訓を得ることで、より確実な出店戦略を立てましょう。
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