泉のマーケティング解説ブログ

不動産

2024.08.24

街の不動産屋さんを応援団にする方法(その2)

商業店舗仲介市場はブルーオーシャンの可能性を秘めています。
ニッチな市場ですが、客観的な立地選定方法を習得すれば、店舗仲介業務で差別化でき、競争の少ない市場で勝負できると確信しています。
ただし、店舗仲介を行う人の主な役割は、空いた店舗にテナントを付けることです。
このビジネス構造上、場所が売れるか売れないかの判断よりも、店舗を埋めることに重点が置かれます。
私自身も独立直後にこの手法を信じ、新人営業マン対象に教育しましたが、うまく定着しませんでした。

そこで、街の不動産屋さんを応援団にするための具体的な方法を以下にまとめます。

場所選定の責任所在は誰にある?

不動産屋さんが紹介した物件の中から、借りるかどうかを決めるのはあなたの権利です。当然、その結果の責任はあなたにあります。
じっくりと決断することが大切です。

街の不動産屋さんを応援団にするための具体的な方法

1.事業コンセプトに合った出店場所を選定できるようになる
  • 最も重要なポイントは、あなた自身が事業コンセプトに合った出店場所を選定できるようになることです。それが応援団のサポートを受けて出店場所を確保する最短の方法です。
  • 具体的に「あの土地、この建物」と指定してお願いしましょう。不動産屋さんは特定の場所が決まっていれば、その場所の賃主等の情報収集や交渉が得意分野です。「良い場所を紹介してください」という依頼では動きにくいのです。
2.具体的な依頼をする
例えば、阪神時代の野村監督と星野監督の違いを参考にすると、星野監督は具体的な選手名を挙げて依頼したことで、フロントが動きやすくなり、結果として成功を収めました。あなたも出店したい場所を具体的に伝えることで、不動産屋さんが動きやすくなります。
3.応援団を動きやすくするのはあなたの役目
出店場所の選定においても同様に、応援団(不動産屋さん)を動きやすくするのはあなたの役目です。具体的であればあるほど、応援団が確実に動けて、結果が出やすくなります。
4.「誰に」「何を」を具体的に明確にする
あなたの事業コンセプトである「誰に」「何を」を具体的に明確にしましょう。これが明確になれば、「どこで」は自然と明確になり、不動産屋さんも喜んであなたを応援してくれます。

不動産屋さんを応援団にするための事例紹介

阪神時代の野村監督と星野監督の違い

野村監督時代は最下位でしたが、星野監督が引き継ぎ優勝を果たしました。
現場をサポートするフロントサイドから見ると、星野監督の方が具体的で明確な指示を出し、フロントが動きやすかったのです。

あなたも同様に、具体的な場所を指示することで、不動産屋さんが動きやすくなります。

まとめ

出店場所を選定する際には、あなたの事業コンセプトに合った場所を具体的に指定して不動産屋さんに依頼することが重要です。
これにより、不動産屋さんが動きやすくなり、結果として良い場所を確保しやすくなります。
また、あなたの事業コンセプトである「誰に」「何を」を明確にすることで、応援団が確実に動ける環境を整えましょう。


2024.08.23

街の不動産屋さんを応援団にする方法(その1)

ここでは、街の不動産屋さんを効果的に活動いただく為の方法を考えましょう。
まず、以下の3つの質問をします。
《あなたへの質問》

  1. あなたは、店舗出店場所を見つける時、場所の紹介を街の不動産屋さんにお願いしていますか?
  2. あなたは、街の不動産屋さんに相談すれば自分の要望にあった場所を見つけてくれると思いますか?
  3. 運が良く優秀な不動産屋さんにあたり、良い場所を紹介してもらえた人は羨ましいと思いますか?

《一つでも「はい」と答えた方へ》

私の経験から申し上げますが、街の不動産屋さんは商業店舗物件を得意としていません。
あなたが期待するような店舗物件を紹介してくれる不動産屋さんは、ほとんどいないというのが現実です。
なぜ街の不動産屋さんは店舗物件を積極的に扱わないのでしょうか?

街の不動産屋さんが店舗物件の扱いが得意でない理由

1.住居仲介がメインの営業

多くの街の不動産屋さんの取扱い物件の大部分は住居の仲介です。これまで住居仲介がメインの営業で商売が成り立っており、特に力を入れる必要がないためです。

2.賃貸市場の規模

賃貸市場では、住居≧事務所≧商業店舗の順でマーケットボリュームが決まっています。店舗は一番マーケットボリュームが小さいため、積極的に扱わないのです。

3.管理の繁雑さ

商業店舗は、業種業態によって建物仕様の条件が異なり、管理と把握が非常に繁雑です。例えば、必要な間口、入り口とアプローチの段差、店内の天井高・柱位置、水道容量や給排水設備の規模・配置、電気容量(動力等)、ガス容量、換気状況(ダクト等)など、確認する項目が住居に比べて非常に多いのです。
以上の理由から、街の不動産屋さんは住居仲介に力を入れることが多く、店舗物件を積極的に扱う必要がないのです。

不動産屋さんとの良好な関係を築く方法

不動産屋さんをあなたの応援団にするためには、以下の点に注意してアプローチしてみましょう:
1.事業の具体的な説明
あなたのビジネスの具体的な内容、提供する商品やサービス、ターゲット顧客について詳しく説明しましょう。これにより、不動産屋さんも具体的な物件を紹介しやすくなります。
2.信頼関係の構築
定期的にコミュニケーションを取り、信頼関係を築くことが重要です。信頼されることで、不動産屋さんもあなたのために良い物件を探してくれるようになります。
3.市場の理解
賃貸市場の動向や、特に店舗物件の取り扱いについて理解を深め、不動産屋さんとの会話で適切な質問をすることが重要です。
4.継続的なフォローアップ
一度相談しただけで終わらず、定期的に状況を確認し、フォローアップすることで、不動産屋さんの関心を引き続けることができます。

まとめ

街の不動産屋さんは、商業店舗物件を得意としないことが多いですが、適切なアプローチとコミュニケーションを通じて、あなたの応援団になってもらうことは可能です。
あなたのビジネスの具体的な説明と信頼関係の構築を心掛け、不動産屋さんと良好な関係を築いてください。

2024.08.22

事業説明が重要な鍵

物件を確保する際、賃貸借契約の締結は重要なステップです。
しかし、賃貸借期間中に店舗を安心安全に使用するために最も大切なことは、貸主とのコミュニケーションです。
貸主との良好な関係を築くためには、あなたの事業理念(思い)を共有し、貸主の土地への思いも共有することが必要です。

貸主とのコミュニケーションの重要性

新人時代には、貸主との初回面談で会社案内を使って事業説明を徹底するように教育されました。
当初は、経済条件の提示が重要だと考えていましたが、実際には事業説明が極めて重要です。これにはいくつかの理由があります。
1.相互理解の促進:
貸主にあなたの企業理念や経営理念を理解してもらうことで、信頼関係を築くことができます。これは、賃貸借期間中のコミュニケーションを円滑にするために不可欠です。
2.長期的な協力関係:
貸主も自身の土地に対する思いがあります。これを共有することで、双方が協力して店舗を成功させる運命共同体になることができます。
3.契約後の対応の柔軟性:
事業説明を通じて貸主と信頼関係を築いておくと、後々の変更依頼やトラブル解決がスムーズになります。

具体例と実践の重要性

大規模な不動産会社(例:三菱地所、三井不動産)を除けば、貸主が借主を、家賃を支払うだけの存在として捉えている場合、開店後の変更事項への対応が難しくなります。
例えば、内外装の変更や追加装置の設置などです。こうした状況を避けるためにも、初回面談での事業説明は欠かせません。

事業説明の実施方法

1.初回面談での事業説明:

初回の貸主面談では、必ず会社案内を使って事業説明を行います。経済条件の提示前に、あなたの企業理念や事業の目的をしっかり伝えます。

2.経済条件提示のタイミング:

経済条件を提示する前に事業説明を行うことで、貸主にあなたの思いを理解してもらい、共感を得やすくなります。

3.貸主の選定:

事業説明を聞いてくれる貸主を選びましょう。説明を望まない貸主は、長期的な協力関係を築くのが難しい場合があります。

個人事業主としての信用構築

特に社会的信用がまだない個人事業主にとって、事業説明は信用を築く唯一の手段です。
創業支援セミナーなどで学んだように、事業の提供内容を明確にすることは、場所を確保する際にも非常に重要です。

不動産業者との関係構築

店舗仲介の不動産業者を応援団にするためには、提供したい顧客像を詳しく伝え、事業説明を行うことが重要です。

優れた業者は、あなたの商品・サービスの特徴と、それを提供したい顧客について具体的に尋ねてくるでしょう。

まとめ

物件を確保する際の成功の鍵は、貸主との初回面談での事業説明にあります。
これにより、貸主との信頼関係を築き、長期的な協力関係を形成することができます。
また、個人事業主としての信用構築や、不動産業者との良好な関係も確立できます。あなたの事業が成功するために、このプロセスを大切にしてください。

2024.08.19

儲かる店の選定5か条 | (その3)空きテナントは要注意!成功する出店場所選び

その3: 空きテナントから良い出店場所は見つからない

私が開店させた多くの店舗の検証結果から、空き店舗テナント(募集看板が設置してある案件)から出店基準をクリアする物件は滅多に出ないことが分かりました。
特に、前テナントが店舗であった場所にコンビニを出店した場合、最終的に短期閉店するケースが多く見られました。

店舗が空く理由

店舗が空く理由は、住居が空く理由とは異なります。
住居が空く理由には、家族構成の変化や転勤・転職などがありますが、店舗が空く理由は主に商売がうまくいかなかったためです。
売れすぎて手狭になったから移転する、売れているが後継者がいないため閉店するというケースは稀で、こうした場合は空きテナントになる前に次のテナントが決まっていることがほとんどです。

空き店舗テナントのリスク

他の人が商売をして売上不振だった場所が、あなたに変われば売れるようになるとは限りません。
むしろ、前のテナントが売上不振だった理由をしっかりと分析し、同じ過ちを繰り返さないようにする必要があります。

具体例: 短期閉店のケース

前テナントが店舗であった場所にコンビニを出店し、短期閉店に至ったケースでは、立地や周辺環境が事業に適していなかったことが原因です。
前のテナントがうまくいかなかった理由を無視して出店することは、同じ失敗を繰り返すリスクを伴います。

適切な出店場所の見つけ方

良い出店場所を見つけるためには、以下の点に注意する必要があります:

  • 1.前テナントの分析:
  • 前のテナントがなぜ閉店したのかをしっかりと分析することが重要です。
  • 2.商圏分析:
  • その場所の商圏をデータと現地調査で分析し、ターゲット顧客が存在するか確認します。
  • 3.立地条件の確認:
  • 交通アクセス、人通り、周辺の競合状況などを総合的に評価します。

まとめ

空きテナントは一見魅力的に見えるかもしれませんが、過去の失敗をしっかりと分析し、慎重に判断することが重要です。
前のテナントが売上不振だった場所に出店することは高いリスクを伴うため、事業に適した立地を見つけるための努力を惜しまず、データと現地調査に基づいた選定を行いましょう。
次回は、儲かる店の選定5か条のその4について詳しく説明します。

2024.08.18

儲かる店の選定5か条 | (その2)賃料と売上の関係を解明【店舗出店】

その2: 賃料の坪単価と売上は比例しない

一般的には、「賃料が高い場所は良い場所であり、商売をすれば売れる」と言われます。
確かに、銀座などのブランド力のあるエリアではこの常識は通用します。
しかし、私が開店させた295店舗や全国約3,000店舗の検証結果からは、賃料が高いからといって売上が高いとは限らないことが分かりました。

賃料と売上の相関関係の検証

調査の結果、賃料が近隣相場より低くても売上が高い店舗が多々ある一方で、賃料が高くても売上が低い店舗も多く存在することが確認できました。

賃料と売上には明確な相関関係は見られませんでした。

唯一相関関係があったのは「賃料と人通り(人の通行量)」です。

駅前など人通りが多い場所は賃料が高い傾向がありますが、それが必ずしも高い売上を保証するわけではありません。

具体例:介護用品店の出店


例えば、後期高齢者向けの介護用品を扱うショップを、人通りの多い原宿の竹下通りに出店した場合を考えてみましょう。

竹下通りは若者が集まる人気のエリアであり、賃料が高いのは当然ですが、ここに介護用品店を出店しても売上が見込めるとは限りません。

賃料と粗利益の関係

賃料が高い場所に出店しても、粗利益から賃料を引いてしっかり利益が残るかどうかを考える必要があります。
ターゲット顧客がそのエリアに存在しない場合、高額な賃料を支払っても利益を確保することは難しいでしょう。

まとめ

「賃料が高い=売上が高い」という常識にとらわれず、事業コンセプトに合った立地選定を行うことが重要です。
人通りの多さだけでなく、ターゲット顧客の存在やその地域の特性を考慮し、適切な場所を選ぶことで、成功の確率が高まります。
次回は、儲かる店の選定5か条のその3について詳しく説明します。

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